よりよい原料を探し求めるなかで、私たちは多くの農家さんに出会いました。
そこにあったのは、自分が育てた作物を我が子のように慈しむ姿です。
そんな農家さんの熱い想いを、私たちのパンを通じて食卓まで届けたい。
「生産者限定商品」という言葉では足りない、溢れる気持ち…。
つくる人の想いを、食べる人までつなげる取り組み。それがこの「結プロジェクト」です。
食べる人の笑顔のためにという一心で作物を育てる農家さん。彼らは日々自然と対峙しながら、種まきから収穫、加工まで、一切の妥協を許しません。その姿には、いつも頭の下がる想いでいました。ところがそんな農家さんでも「自分がつくった小麦のその後を知らない」と言うのです。このときから、単に自分たちがおいしいパンをつくるというだけのスタンスではいられなくなりました。農家さんの熱い想いが私たちを「結プロジェクト」の発足へと突き動かしたのです。
大和田さんの畑は、小麦の一大産地である十勝、本別町にあります。妥協を許さず、小麦を育てる姿勢に、何度驚かされたことでしょう。「おいしい!」初めて大和田さんの小麦を使ったパンを食べたときの衝撃は、生涯忘れません。大和田さんのつくる『春よ恋』のおいしさと、何より情熱を、食卓に届けたいという想いでいっぱいでした。お互いに初めてのことづくしですが、「良いものをつくる」という同じ目標に向かって共に走っていける、最高のパートナーと巡り会えました。
結プロジェクトはまだスタートラインに立ったばかり。ゆくゆくはタマヤパンで扱う原料のすべてを、顔の見える生産者さんとつくっていきたいと思っています。最初の構想から商品化までに10年以上を要したのですから、長い道のりになります。それでも「このパン、うちの作物でできているんだ」と誇らし気に語る農家さんの姿…。その気持ちが届き「おいしいね」と食べてくれる方の姿…。それを想像するだけでワクワクして「またおいしいパンをつくろう」と思うのです。