パンのおいしさは、主原料である小麦粉に大きく左右されます。
初めて国産小麦でパンをつくったとき、そのおいしさの虜になりました。
一般的に国産小麦は、粘り気が少なくパンづくりに向かないとされています。
それはあくまで、パンの膨らみなど、製造工程に影響するもの。
おいしさを届けたい一心で、国産小麦の弱点を技術力で補う挑戦が始まりました。
試行錯誤を繰り返し、最初の商品化までにかかった歳月は約10年。
以来、国産小麦の割合を増やし、今では国産小麦100%で提供できるようになっています。
苦心の末たどり着いた「日本のパン」のおいしさを感じてください。
日本ならではのパンを目指すうえで、酵母は国産小麦に次ぐ重要なテーマでした。
日本には古くから優れた発酵技術があります。着目したのは、米と麹でつくる甘酒種の酵母。
苦心の末、お米と麹を合わせ、1週間かけて育てあげる自家製天然酵母が完成しました。
受け継がれた味は今でもタマヤパンの大きな財産です。
現在使用しているお米は、兵庫県豊岡市の「コウノトリ育むお米」。
野生復帰したコウノトリが住みやすい環境づくりの一環としてつくられる、
無農薬栽培や減農薬栽培のおいしいお米です。
どこか懐かしくてほっとするような格別な香りと風味が楽しめる、自慢の甘酒種です。
「白米のように毎日食べられるおいしいパン」を目指す過程で、
添加物をできるだけ使わないパン作りを心掛けるようになりました。
それは、添加物を入れたパンはどうしても飽きがきてしまうから。
添加物を使えば保存が効く。製造時間が短縮できる。香りや味を後付けできる…。
私たちはこれらの「つくる側の都合」を捨ててしまいました。
添加物が登場してまだ数十年。体への影響は、正直私たちにもよくわかりません。
よくわかっているのは、美味しさを優先するのであれば添加物は必要ないということ。
手間も時間もおしまず、今日も一つひとつ丁寧に手づくりしています。