タマヤパンは私の祖父にあたる田中丈二が、終戦の翌年、昭和21年11月に大阪府岸和田市宮本町で創業しました。当時は配給で小麦粉が配られていましたが、その調理方法がわからずに困っている人がいることを知り、パンの委託加工業を始めたのです。
その2年後には委託加工業から製パン企業となり、学校給食の指定工場にもなりました。昭和42年には現在の本社工場所在地に工場を新築しましたが、その後、大手パンメーカーとの大量生産の商戦が激化し、"町のパン屋さん" への転身を決意しました。
この店舗は二代目である現会長の田中武夫が、大阪府の和泉府中駅前商店街に本店としてオープンしました。後に創業者が「このお店が今日のタマヤを築く基礎となった」と言っています。
私は2012年に三代目としてバトンを引き継ぎました。タマヤパンの原点は小さなパン屋さんですが、その後は食品メーカーとしてのパンメーカーへと転進しました。そして2016年11月、創業70周年を迎えることができました。農家さん、小売店、スタッフ、そしてお客様。本当に数えきれない多くの方々に支えていただいたおかげです。この「人」とのつながりこそ、今のタマヤパンの財産。今後はこの「人」と「人」との輪を広げ、さらなる発展へ、そして、100年企業を目標に進めていきたいと思っております。
もちろん創業当時から現在まで受け継がれてきたパンづくりへの想い、お客様への想いは変わりません。食品メーカーとして製品第一をモットーに、これからも美味しいパンを皆様の毎日の食卓にお届けできるよう努めてまいります。
パンはもともと外国のものですが、今では日本の小麦で美味しいパンをつくることができます。私は近年、国産の小麦を通じて多くの農家の方とお会いすることができ、農業についても勉強させていただいてきました。タマヤパンは、こうした農家さんのおかげでパンをつくることができています。しかし、農業もまたさまざまな課題を抱えています。我々タマヤパンが、食を通して日本の素晴らしさを皆様に発信し、日本の魅力、農業の素晴らしさをお伝えすることで、少しずつかもしれませんが、未来への希望をつなげていければと考えております。そして日本の魅力を「食」というものを通じて、世界へ発信していきたいと思います。
代表取締役社長田中 優宏