タマヤだより Blog

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17.12.26

日経MJに掲載していただきました。 4

前回からの続きです。ロゴマークも決めましたが、それだけではダメです。
価格競争に巻き込まれ、差別化しなければ生き残れないと思い、国産小麦でパンを作ろうと絞り込みをスタートしました。

この決断に至るまで、これも実は裏話があります。
価格競争に巻き込まれたというのは、実際に売上が落ちてきた時にいろんな事をやりました。
国産、外国産関係なく、スーパーさんと共同開発で100円均一のパンのシリーズを作ってみたり、日持ちのするものを作って販売してみたり、僕が専務の時代からホントその当時考えられることは色々とやってきました。売上が下がるということが怖くて・・・

でも、ホントことごとく失敗しました。全然売れないですし、100円均一のパンに当たっては、やはりうちでは、ホントに安いパンと分かるような物しかできなかったですし、
国産小麦のパンは、まだ珍しかったので新しく出すと少しは売れましたが、
全体量が落ち込んできている時の足しにはならずで、どうすればいいか?ずっと悩んでおりました。

当時は、あとを継ぐのは決まっていましたがまだ専務だったこともあり、先代社長と日々議論を交わしました。時には会社組織の社長と専務ではなく、親子として白熱してケンカになることも数多くありました。
自分の中では、国産小麦のパンを作りたい、もっともっと国産の小麦を知りたい。
今よりも天然酵母を使って国産小麦で本当の小麦の美味しさのあるパンを作りたい。
そんな想いは以前からありました。
ただ、現状は全体量の5割、体制も大丈夫か?安定供給は?様々な不安な要素があり思いとどまっていました。
先代社長も30数年前から扱ってきたのでそんなことは全て頭の中にあります。
一度、供給がストップしお客様にご迷惑をかけたこともありますし、製造も作るには手間がかかり難しい。実際に製品化までかなりの時間と労力をかけ開発してきたものです。
経営者としてもリスク回避も頭にある。2人とも悩んでいました。
そんな想いが激しい議論になっていました。

月日が流れていき、まだ失敗を積み重ねていた時でした。
ちょうど事業承継の時期を決めていたこともあり、社長に就任するときでした。
ふと、『どうせ次も失敗するなら思い切って国産小麦でおいしいパンを作ってみよう。』
そう思い、当時の製造担当、営業担当に相談してみました。
『思い切って全部国産小麦に変えていこうと思うけどどう思う?』
製造担当は、
『これだけ国産小麦をやってきているんだから、特に外国産小麦だから作りやすいといったこともないし、原料がどちらでも同じです。』と
営業担当は、
『やはり国産小麦の方が美味しいしお客様にも勧めやすいです。』
そこが覚悟を決めた瞬間でした。

ちょうど社長になった時期でもありましたが、先代社長にこれでいこうと思うと伝えるといいんじゃないかと言ってくれました。

リスクがあるならそれを全てクリアしていけばいい。
経営者として未熟で経験もない僕は単純にそう考えました。それが始まりでした。
まずは、改めて国産小麦の品種など製粉会社さんに教えていただきました。
新たに様々なメーカーさんとお付き合いをさせて頂いていますが、その当時は、国産小麦をメインにして行くと言ってはいるものの、無理だろうとか本当にやるのか?と思っている方が多かったと思います。

今では、当たり前ですが、お付き合いするメーカーさんが増え、
当時のスタッフには、『同じ品種なのになぜわざわざ違うメーカーさんから取るのか?』
と言われたり、
『種類が多くてわかりづらい』と言われたり、
様々な意見がありました。僕が反対の立場でも思います。めんどくさいな~と。
そこで、なぜそうするのか?を伝え続けてきました。
今でも、実際は面倒くさくてやらないところの方が多いと思いますが、
うちはこれからも継続していきます。
売るのにも作るのにも手間がかかると書いていただいていますが、
今では、“テマヒマ”かけることがタマヤパンのパンづくりの基本となってきています。
これからは更に“テマヒマ”かけた商品づくりで美味しいパンをお客様にお届けしたいと思っています。
続く。